23.10.27
建設業界に関わらない人からすれば聞きなれない言葉である「はつり工事」
この工事は建物や道路の解体、補修、リノベーションなどで重要な役割を果たします。
よく聞く解体工事とは内容に違いがあるようです。
本記事でははつりの意味や工事内容、解体工事と何が違うのか、実施する際の注意点についてわかりやすく解説します。
「はつり」とはいったいどんな意味の言葉なのでしょうか。
はつりの意味や主な工事についてまとめます。
はつりは漢字で書くと「斫り」となります。
コンクリートを加工する作業である削り、破壊、切断、整形、穴あけといった作業全般をはつりといいます。
コンクリートを使用している場所では必ずといってよいほど発生する作業です。
現在、コンクリートはマンション、ビル、駐車場、一般住宅、道路とあらゆる場面で使用されているため、はつり工事の範囲はかなり広いといえます。
ドアや窓のサッシをはめるためにコンクリート壁を削ったりする作業のことをコンクリートはつりといいます。
他にも建物の一部を壊したり、表面を仕上げる作業などがあります。
仕上げ作業ではハンマーやノミをつかって形を整えていき、表面をデザインします。
作業方法は作業員の人力だけで行う場合と、重機と一緒に行う場合があります。
それぞれについてみてみましょう。
1つ目は作業員が人の力で作業する方法です。
かつては、人の力でノミやハンマーを使って作業していました。
現在は圧縮空気や油圧式、電動式のノミを使用するのが主流です。
壁を本格的に破壊するときにはハンドクラッシャーを使用します。
どの作業でも作業員が手動で行うため、重機よりも小回りが利き、狭い場所でも活躍します。
2つ目は重機を使う方法です。
といっても、重機単独で破壊するわけではなく、作業員による人力の作業と並行で行われます。
解体現場でよく使用されているショベルカーは先端部分のアタッチメントを交換できます。
たとえば、ハンマーを取り付けるとより破壊しやすくなります。
コンクリートの塊を挟んで壊すクラッシャーもよく使用される重機です。
コンクリートを壊すと聞くと、よく見る解体工事と違いがないように思うかもしれません。
解体工事は建物すべてを取り壊してしまう工事のことです。
ショベルカーなどを使って、建物を完全に壊してしまう光景を目にしたことがあるかもしれません。
作業員が近くにいるとかえって危ないので重機だけで解体することが多いです。
しかし、部分的な破壊や繊細な仕上げが必要な場所では重機を使わず人の力で工事を行うことが多いのです。
まとめると、解体工事は建物全体を破壊する工事であり、はつり工事はより小規模で細かな仕上げが必要な場所で行われる工事だといえます。
では、小規模で細かな仕上げが必要な場所とはどこなのでしょうか。
具体的に見てみましょう。
まず思いつくのは重機が入れないような狭い場所です。
こういった場所では道具を持った作業員による工事が適切です。
住宅が集まっている場所では、騒音を出さずに作業することが求められます。
そういった場所で、リノベーションを行い、コンクリート壁を除去する必要があるときなどにはつり工事が行われます。
室内のコンクリートの張替えや穴あけ作業、建物の外観や室内の美観を整える作業などもはつり工事の分野に含まれます。
こうした作業は細やかさが要求されるため、熟練した作業員による職人しごとが求められるでしょう。
屋根を支えるための柱の埋め込みや配線工事、道路補修の場面でもコンクリートを加工する必要があります。
工事を実施する際は以下の2点に関する注意が必要です。
1つ目の注意点は騒音への配慮です。
重機よりも音が小さいとはいえ、はつり工事もかなり大きな音が発生します。
大きなトラブルに発展しがちなのは粉じんや振動、そして騒音です。
工事開始前に周辺住民に理解を求めたり、夜間に作業しないなど周辺住民の生活への影響を最小限にとどめなければなりません。
解体工事よりも小規模ですが、繊細な作業が必要なため時間がかかります。
作業日数が増えると、その分だけ人件費がかかりますのである程度、余裕をもって予算を組んでおかなければなりません。
また、作業中に想定外のことが発生した場合、料金が上乗せされる可能性がありますので注意が必要です。
今回ははつり工事についてまとめました。
はつり工事はコンクリートに関する工事全般にかかわる重要な工事であることがわかりました。
解体工事よりは小規模ですが、騒音、振動、粉じんなどが発生する恐れがある工事ですので、周辺住民の理解を得なければなりません。
また、想定外のコストがかかる可能性がありますので入念な打ち合わせを行うとともに、十分な予算確保をしておいた方がよいでしょう。