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「原状回復」「現状回復」「原状復帰」って何が違う?

23.07.21

賃貸物件を退去する際は部屋を原状回復しなければいけません。
次の入居者を確保するためにも部屋を元通りにする必要があります。
しかし原状回復に似た言葉に「現状回復」と「原状復帰」があります。
それぞれどのような違いがあるのでしょうか。

この記事では「原状回復」「現状回復」「原状復帰」の違いについて紹介するので、ぜひ参考にしてください。

「原状回復」「現状回復」の違い

「原状回復」と「現状回復」は同じ意味になります。
一般的に不動産業界では「原状回復」という言葉が用いられます。
そのため現状回復は誤字であることが多いです。

そもそも原状回復は「入居前の状態に戻す」という意味です。
「現状回復」では現在の状態に戻すことと捉えることができる一方、どの状態まで戻るのかが不明確であることから若干違う意味合いにもなるでしょう。

また原状回復は国土交通省の原状回復をめぐるトラブルとガイドライン (再改訂版)に則って入居者の義務となっています。
名前の通り「現状回復」ではないことから、単なる誤字であることがわかります。

「原状回復」と「原状復帰」は使われる場面が違う

原状回復に似た言葉に原状復帰が挙げられます。
それぞれの違いについて詳しく解説します。

2つの違いについて

原状回復と原状復帰は似たような内容ですが、使用される場面が異なります。
双方の違いに明確な定義はありませんが、原状回復は入居者が入居する前の部屋の状態に戻すことを意味します。

一方で原状復帰は元の状態に戻すための工事を意味することが多いです。
そのため以下のように区分していても良いでしょう。

・原状回復・・・入居者が建物をもとの状態に戻す行為
・原状復帰・・・元に戻すための工事

原状回復費はいつ支払う?

入居者は入居時に支払った敷金で原状復帰の費用を相殺することが一般的です。
敷金はさまざまな用途が挙げられますが、最も多いのは退去時の原状回復費です。

ただし、「クロスが全面的に汚れていて張替えが必要」「建具や設備が入居者の故意で破損している」と分かった場合、敷金などでは原状回復費が不足する可能性もあります。
そのため不動産会社は退去時にリフォーム業者へ原状復帰の工事見積もりを依頼するというのが一般的な流れとなります。

賃貸物件における原状回復の課題

「原状回復はどこまで行えばよいの?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は国土交通省でガイドラインが定められているものの、貸主と借主の間でよくあるトラブルにもなっています。
そのためここでは原状回復の範囲とトラブル事例を紹介します。

原状回復ガイドラインとは

原状回復の範囲は国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によって定められています。
しかし法的効力があるわけではありません。
そのためトラブルに発展するケースが良くあります。

近年ではガイドラインに則って裁判所が判決を下すことが増えてきました。そのため事実上法律のような効力があると言えつつあります。

原状回復の範囲は?

原状回復の範囲は借主の故意によって異なります。
特にエアコンや給湯機などの設備は年々劣化していくこともあり、借主の故意で修繕が必要とは言い切れません。

さらに設備は交換するとなると十万円近い価格にもなりかねず、借主の負担が大きくなります。
そのため経年劣化による修復などは借主負担、借主の故意で破損させてしまった部分は原状回復として借主が負担することになります。

具体的な例を挙げると以下の表の通りです。

経年変化によって修復・修繕が必要な場合は「貸主」が負担

借主の故意または過失で修復・修繕が必要な場合は「借主」が負担

エアコンや給湯機などの故障・破損

家具家電を設置した時についた床の傷

テレビや冷蔵庫の設置で生じたクロスの黒ずみ

タバコなどによってクロスの交換が必要となった場合

地震などによって破損した窓やクロスの亀裂

ペットなどによる建物への損傷

原状回復でのトラブルとは

国民生活センターでは毎年原状回復トラブルや賃貸物件の敷金について、1万件近い相談件数が確認されています。
さまざまなトラブルが挙げられますが、ここでは3つのケースを紹介します。

・クロスが汚れていないのにクロスの張替え費用の請求が届いた
・窓の結露によるカビは借主の故意でないのに交換費用が請求された
・最初から壊れていた箇所の請求が来た

主なトラブル事例は貸主と借主との意見の相違です。
もちろん借主は支払いたくないですし、貸主は交換したいと考えています。
そのためトラブルは後を絶たない状態です。

近年では不動産会社の方で、入居者前に建物の写真を撮っており、入居時に破損や汚れがないかのアンケートを行って対処している企業も多いです。

まとめ

今回は「原状回復」「現状回復」「原状復帰」の違いについて紹介してきました。
それぞれ細かな内容は異なるため、使い方には注意しましょう。

また原状回復の範囲はガイドラインに則っておりますが、できればトラブルに発展したくないはずです。
そのためトラブル事例などを確認し事前に対処しておくようにしましょう。

弊社では原状回復のサービスを提供しております。
年間施工も500件以上の実績もございますのでぜひ一度ご相談くださいませ。