22.12.22
「スケルトン戻し」とは、オフィスを退去するときに求められる方法の一つです。
内装などをすべて取り去って構造のみの状態にして戻さなくてはなりません。
退去方法の中では最も費用がかかります。
しかし、オフィスによって条件が異なり、場合によってはトラブルに発展するケースもあるでしょう。
この記事では、スケルトン戻しの定義とやり方、トラブルを防ぐ方法などを紹介します。
はじめに、スケルトン戻しとはどのような状態なのか、定義ややり方などを解説します。
「通常の退去と何が違うのか」も紹介するので参考にしてください。
スケルトン戻しとは、部屋の内装が何もない状態で退去するのを指します。
例えば、オフィスや店舗を借りる際、カーペットやフローリングを敷いて壁紙を貼り、お店や事務所のコンセプトに合わせた部屋づくりを行うでしょう。
この内装を、退去時にはすべて取り去ります。
部屋の中はコンクリートの駆体がむき出しになった状態です。
この反対の状態が「居抜き」で、こちらは机や椅子といった設備もすべて残した状態で退去します。
オフィスを借りる際、駆体がむき出しになった「スケルトン」の状態で引き渡され、自分で壁紙やカーペットを貼った場合は、引き渡す際はまた「スケルトン」の状態にするのが原則です。
スケルトン物件は、賃借人が自分の好みでレイアウトできるのが最大のメリットです。
そのため、退去する際は自分の責任で元通りにしなければなりません。
その費用が負担な場合は、カーペットや壁紙などがあらかじめ貼られた物件を選びましょう。
スケルトン状態といっても、それがどのような状態を指すのかは建物のオーナーによって異なります。
賃借人が持ち込んだ設備や機器をすべて撤去すれば、床材や壁紙はそのままでよいケースもあれば、駆体をむき出しにした文字どおり「スケルトン状態にして返却」を求めるケースもあります。
どちらが該当するのかは、賃貸契約を結ぶ際にしっかりと確認しましょう。
床材や壁紙の撤去がいらない場合は、退去時にかかる費用を節約できます。
また、スケルトン状態に戻す工事を、オーナーが指定する業者で行うのを求められる場合と、自分で好きな業者を選べる場合があります。
オーナー指定の業者に依頼すると、自分で業者を選んだ場合よりやや割高になる場合が多いでしょう。
スケルトン戻しの坪単価は、3~5万円が相場といわれています。
例えば、10坪のオフィスを借りて坪単価3万円でスケルトン戻しをした場合、おおよその費用は30万円です。
また、オフィスの「スケルトン戻し」は店舗の「スケルトン戻し」よりも手間がかからないケースが多いので、もう少し値段が下がる場合もあります。
詳しくは、依頼した業者に見積もりを出してもらいましょう。
スケルトン戻しで起こりやすいトラブルには、以下のようなものがあります。
● どこまでが「スケルトン」なのか、オーナーと賃借人の間で食い違いが出た
● オーナー指定の業者でスケルトン戻しをしたら費用が高額になった
● つけてもいない傷をつけたとされ、修理費用を請求された
スケルトン戻しは法律で「どこまで行うのか」といった決まりなどはありません。
そのため、オーナーと賃借人でしっかりと意見をすりあわせておきましょう。
また、オーナーから指定された業者の見積もりが相場より高額な場合、別の業者から相見積もりを取って、交渉材料にする方法もあります。
トラブルが起こった際は基本的に当事者同士の相談で解決が求められますが、どうしても難しい場合は仲介業者にも相談にのってもらいましょう。
最後に、オフィスのスケルトン戻しをスムーズに行う方法を2つご紹介します。
これから賃貸オフィスを借りる方は、参考にしてください。
契約書には、退去時に賃貸物件をどのような状態にして退去するかが、必ず記載されています。
必ず目を通して、分からない点があったら徹底して質問しましょう。
単に「スケルトン戻し」としか書いていなかった場合は、入居時と同じようにするのか、それとも違うのかまで確認しておくと安心です。
また、入居時に物件に傷などがあった場合は念のために撮影をしておきましょう。
トラブル防止になります。
オフィスの退去は一般住宅の引越しに比べて時間がかかります。
スケルトン戻しを求められているならなおさらです。
特に、業者を自分で決めてよい場合は、業者を探す時間も必要です。
通常、退去は1か月前にオーナーに告げて準備をしますが、オフィスの場合はスケルトン戻しを依頼する業者探しを含めたら、2か月前から準備をはじめましょう。
そうすれば、直前になって慌てる必要もありません。
スケルトン戻しは、オフィスの退去方法の中ではごく一般的なものです。
オーナーによって「スケルトン戻し」の意味が異なるケースもあるので、よく確かめてから退去準備をはじめましょう。
なお、自分で電話線やLANケーブルを引いた場合、基本的にはそれも撤去が必要ですが、場合によってはオーナーがそのままにしておくのを求めるケースもあります。